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アルミ鋳物・ダイカストに関する技術コラムです

2020.03.18

アルミダイカストに使用する金型の特徴とその材料について(1)

 ダイカストには、鋳造合金、ダイカストマシン、そして金型の3要素があります。その中で最も重要で、その出来映えの良否がダイカストの品質に大きな影響を与えます。また、金型の損傷は生産性の低下、ダイカストのコスト増に繋がります。今回はダイカストで最も重要な金型についてを、2回に分けて解説していこうと思います!

1.金型とは?

 では早速、ダイカスト金型について説明していきたいと思います。と、その前に。そもそも、金型とは何なのでしょうか。理解を深めるためにも金型について、まず説明していきたいと思います。

 金型とは読んで字のごとく「金属でできた型」です。モノの形状を決めるには、曲げたり、削ったりと方法がありますが、型が決まったモノに溶解金属を流し込んで形状を決める方法があります。この金属で”形が決まったモノ”を金型といいます。金型にはいろいろ種類がございますが、その金型より柔らかい素材を流し込み成型するということは変わりません。高熱で熱したガラスを加工する硝子金型、プラスチックを加工してペットボトルや食品トレーを加工する樹脂金型があります。そして、溶けた金属を金型に流し込んで加工することを金属金型と言います。

写真1 金型の例

 加工方法にはいろいろあり、素材を加熱し液体化にしたものを金型に流し込んで成型することを鋳造、素材を金型で叩いて成型することを鍛造、素材に金型を押し込んで成型することをプレスといいます。

2.ダイカスト金型とは?

 では、ダイカスト金型とは何か。単純にダイカストで使う金型のことを言います。ダイカスト金型の機能には2つあり、製品形状の付与と鋳造金属の熱抽出の機能があります。前者はダイカストの製品形状を決めるもので、金型に製品形状または鋳造法案が彫りこまれており、金型寸法精度は製品寸法精度を左右します。鋳造方案は、ゲートからの溶湯の流入及びガス抜きの良否が鋳巣や湯回り性を左右します。後者は、金属キャビティに充填された溶解金属(溶湯)の顕熱・潜熱を抽出することで、溶湯から金型への熱伝達による過酷な温度条件に耐えて、長い寿命を保持しなければなりません。

 

3.金型の基本構造

 ダイカストの金型構造は、一般的に固定型可動型で構成され、その2つを合わせてできた空洞部(キャビティ)に溶融金属を鋳込みます。1つ目の固定型は、固定版に取り付けられ、溶湯を金型キャビティに注入するための鋳込み口ブッシュが取り付けられています。2つ目の可動型は、可動盤に取り付けられて型締装置により開閉されます。また、可動型には製品を取り出すための押出機構が取り付けられています。

 また、可動型には、固定型と可動型だけではできない形状を作るために側面方向に動く引抜中止が取り取り付けられます。金型には2枚の金型がずれることなく合わさるためにガイドピンおよびガイドピンブッシュが設けられます。

 固定型、可動型ともにダイカスト金型は、入れ子とおも型で構成されます。キャビティ部分は入れ子と呼ばれ、耐熱性に優れた熱間工具鋼で作られます。おも型は入れ子をはめこむ部分で、炭素鋼、鋳鉄、鋳鋼などで作られます。また、入れ子の表面には、金型を長持ちさせるために窒素処理などの表面処理が行われます。

写真2 ダイカスト金型

4.ダイカスト金型の種類

ダイカスト金型は、ダイカストマシン、構造、取り数に応じて様々に分類されます。ダイカストマシンを大別すると、ホットチャンバーマシンとコールドチャンバーマシンがあります。前者は、専用の炉と一体になっており、射出装置、型締装置、押出装置などで構成されます。後者は、ホットチャンバーマシンと異なり溶湯保温炉とダイカストマシンが分離されており、射出部(チャンバー)が溶湯の中になく、空気中にあって冷えているモノを言います。このことからコールチャンバーと言います。この二つのダイカストマシンによって金型が異なるため、それぞれについて解説していきます。

〇 ホットチャンバー用金型

 ホットチャンバー用金型の鋳込み口(スプルー)は、固定型側の鋳込み口プッシュと可動型側の分流しで構成されます。鋳込み口ブッシュは、ダイカストマシン側のノズルから流入した溶湯をランナーに導く部分で、円錐形状をしています。また、分流子の形状も円錐形場をしており、内部には冷却回路が設けられています。

〇 コールドチャンバー用金型

 コールドチャンバー用金型の鋳込み口は、ホットチャンバー用金型と同様に固定型側の鋳込み口ブッシュと可動型側の分流子で構成されますが、形状が異なります。鋳込み口ブッシュは、プランジャーチップが摺動するため、円筒形形状しています。また、分流子は鋳込み口ブッシュに勘合し、上部にランナーに溶湯を導く流路が設けられています。

このように、ダイカストマシンのホットチャンバーとコールドチャンバーで金型は異なります。目的に応じて使い分けることが必要です。

まとめ

 ダイカスト金型は3要素の中で最も重要で、完成品に大きな影響を与えます。その構造固定型と可動型に分かれ、さらにダイカストマシンによっても構造等が異なります。今回は、ダイカスト金型の概要を書いていきましたが今回はここまでです。

次回は、ダイカスト金型に使われる材料、加工、さらには表面処理について記載していこうと思います。よろしければ、次も読んでみてください!

参考文献

  • 『絵とき ダイカスト基礎のきそ』(日刊工業新聞社 2015年版)
  • 『今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい鋳造の本』(日刊工業新聞社 2015年版)
  • 『鋳造技術シリーズ 6 軽合金鋳物・ダイカストの生産技術』(一般座談法人 素形材センター2014年版)
  • 小冊子『ダイカストって何?』(一般社団法人 日本ダイカスト協会)

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