アルミ熱処理炉の基礎知識

アルミ熱処理炉の基礎知識

今回はアルミ熱処理炉の基礎知識について解説致します。

1.アルミの熱処理とは

そもそもアルミニウム及びアルミニウム合金には展伸材と鋳物材があります。
展伸材は圧延や展伸加工したアルミニウムを指します。鋳物材は鋳造によって造られる物です。
展伸材は1000系、2000系、3000系、5000系、6000系、7000系に分けられます。
鋳物材はAC2A,AC3A、AC4A、AC4CH、AC7A、AC8AとJISで規定されます。
今回は鋳物材のアルミ熱処理について解説します。
鋳物材における種類によって特徴及び用途が異なり、自動車用マニホールド、ブレーキドラム、ピストン、等様々な用途においてアルミニウム鋳物が使用されています。
AC2A及びAC4Aは溶体化処理及び時効処理（T６処理）によって強度を高めることが可能です。
溶体化処理とは添加元素を均一に溶け込ませる処理です。
溶体化処理においては温度管理が重要で温度が低すぎると固溶状態が作れず、温度が高すぎると部分的に溶けてしまう現象が現れます。
時効処理は所定の温度に加熱することによって二次相を析出させる処理のことを言います。時効処理温度は200℃前後です。
JISによる熱処理の記号はTで表され最も良く利用されているのがT6処理です。
T6処理は溶体化処理後人工時効硬化処理するものです。

2.T6アルミ熱処理炉の基本構造

前述した通り、アルミの熱処理で最も良く利用されているのがT6熱処理です。
T6アルミ熱処理炉の基本構造について説明します。
まず、溶体化処理には、一般に3つの方式の炉があります。縦型炉、ソルトバス（硝石炉）、運続焼鈍炉です。縦型炉は、熱風循環式の空気炉で上部に空気炉が、下部に焼き入れのための装置が設置されていて、急速な焼き入れができるようになっています。
ソルトバスは硝酸ナトリウムと硝酸カリウム（KNO3）を混合した液体によって効率よく急速に熱処理を行います。
連続焼鈍炉は、連続的にしかも品質の良い材料を作るために作られた設備です。溶体化処理と焼き入れを同一の設備で連続して行うことができます。
日本高熱工業社が取り扱う基本的なT６熱処理炉はワークをバスケットに積載し、自動で連続的に熱処理を施す設備です。焼入れを均一化する為の水温コントローシステムも搭載しています。
炉内雰囲気温度の精度は±５℃で高品質な熱処理が可能です。
燃焼方式はガスバーナーによる熱風循環方式が一般的です。
ガスバーナー以外では電気ヒーターによる熱風循環式もあります。
処理の流れとしてはバッチ式と連続式に分けられます。
バッチ式は熱処理の1連の流れをを1サイクルとして処理します。
連続式は1連の流れを並行して連続的に処理する方式です。
バッチ式のメリットとして、それぞれの工程の条件を任意に変更できるので、様々な処理することが可能となり、多品種少量生産向けと言えるでしょう。
連続式は連続的に処理ができるので大量の処理が可能となります。

3.最新アルミ熱処理炉について

日本高熱工業社では以下の通り様々なアルミ熱処理炉をご用意しております。

・T-6熱処理炉
・溶体化・時効兼用炉
・ローラーハース型T-6熱処理炉
・T-4熱処理炉
・回転式アルミ熱処理炉

中でも回転式アルミ熱処理炉はアルミの熱処理を全て自動化したシステムです。
無人操業に伴うトレーサビリティ管理システムによる熱処理状態管理が可能です。
サイドブロー式熱風循環により省スペース化を実現しています。
またロボットによるワークハンドリングにより、通常必要となる製品バスケットが不要となり必要熱量が低減された省エネ炉となっています。
構造としては溶体化炉、水没装置、時効炉、搬入出コンベア、ハンドリングロボットで構成されており、一連の熱処理を連続して行います。
円形構造を活かした熱風循環方式を採用することで炉内温度精度は高く保ちながら、循環風量と電力量は少なくできるという優れた性能を兼ね備えた設備です。

4.おわりに

今回はアルミ熱処理の基本について解説しました。
日本高熱工業社が提案する最新の回転式アルミ熱処理炉の概要についてはコチラから（https://www.youtube.com/watch?v=jshEVrSSyBY）
お問い合わせはこちらまで（https://cast-rev.com/contact/）