アルミの重力金型鋳造法
平成3年の重力金型鋳造法によるアルミニウム生産量は全体の42.2%に上ります。低圧鋳造も伸びを見せていますが、低圧鋳造は金型鋳造の技術が必須となります。そこで、今回はアルミニウムの重力金型鋳造法で特に注意するべきこと、考慮すべきことを選別いたしました。
金型鋳造の特徴11選
1. 繰り返しの使用が可能
2. 同じ形状ならば短時間で量産可能
3. 自動化、機械化が容易
4. 大きな工場でなくとも生産量を高くできる
5. 製品の機械的性質が砂型鋳造のものより高い
6. 砂や非金属製中子を用いてアンダーカットの製品の製作が可能
7. ダイカストより大きな製品を製作できる
8. 製品の多数個取りが可能
9. 製品の鋳肌が滑らかで、高い寸法精度となる
10. 型や鋳造機械にシリンダによる別型または穴あけも可能
11. 作業者の熟練度に製品の品質が左右されない
鋳造方案での注意点9選
1. 方案はできるだけ簡便にし、注湯の時の乱流をさけるようにする
2. 厚肉部分と薄肉部分との接続は薄肉部分が厚肉部分に近づくにつれて厚みが増すようにし、溶湯の乱流やホットスポットの発生を避けるために厚みの増加率はなるべくなだらかになるようにする
3. 押湯、厚肉部分を分割線上に置けない場合は薄肉部分と厚肉部分を連続させて、隔離させないようにする
4. 費用を抑えるために、中子や鋳抜き穴、鋳抜きピンを設置する
5. 鋳物の寸法公差は必要とされる寸法公差にとどめておく
6. 製品の強度と剛性を出すためにリブを用いてもよい
7. 溶湯が型内部に充満し、完全に充填するためにガス抜きをする
8. 押湯部分が最後に凝固するように指向性凝固ができるような鋳込み、肉厚、押湯を儲ける
9. 生産性と品質担保のために金型を冷却する
金型設計での検討するべきこと10選
1. 型に熱勾配を持たせ、指向性凝固ができるようにする
2. 型の破損や変形を防ぐために型や鋳造機械に剛性をもたせる
3. 製品を型から分離させる際の変形や欠損を防ぐための抜け勾配をとり、温度も十分に低くなってから取り出す
4. 型の分割面に湯口、ランナー、押湯を取り付ける
5. 厚肉部にも押湯効果が出るように型の分割面に厚肉部が接しているようにする
6. 厚肉部や薄肉部が動かない鋳物においても型の冷却、押湯の位置と大きさを検討する
7. 押湯、せき、湯口、ランナーの位置と大きさを変更できるように、型温に注意しながら型の大きさに余裕を持たせる
8. 置中子、インサートなどの装入物の支えを設ける
9. 製品加工時の基準面やチャッキングの場所には押湯、ランナー、湯口は避け、設計段階からユーザーと加工方法などを協議する
10. 製品の型離れ摩擦低減のために抜け勾配をとり、塗型材を使用し、製品寸法についてもこの段階から考慮する
さて、今回は重力金型鋳造法においての基本的な注意事項をご紹介してきました。いかがだったでしょうか?
これを読んだ方の手助けになれば幸いです。
参考文献
- 『軽合金鋳物・ダイカストの生産技術』(一般財団法人 素形材センター 2014年版)
アルミ鋳物・ダイカストに関する
課題を解決します
溶融品質
を上げたい製品歩留まり
を改善したい製品長寿命化
を図りたい自動化・省力化
を進めたい省エネ
を追求したい