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アルミ鋳物・ダイカストに関する技術コラムです

DX推進記#2:原価管理をDXする

原価管理システム刷新の取り組み

当社では、DXに向けた取り組みを段階的に進めてきて、現在ではある程度その実現に成功しつつあります。数回にわたり当社のDXの推進記を紹介いたします。

製造業における原価管理は、企業の利益を左右する重要な要素です。しかし、私たちが長年使用してきた原価管理システムには、大きな問題がありました。

このシステムは20年前に導入された受注・売上・仕入を管理するもので、当初は十分に機能していましたが、時代の変化とともに老朽化が進み、処理速度の遅さ、使い勝手の悪さ、他のシステムとの連携のしづらさなどの問題があらわれてきました。

まず動作が重く、データ処理に時間がかかるようになりました。データを抽出するだけでも時間がかかり、抽出開始後に席を外して戻ってきても処理が終わっていないこともありました。

また、更新履歴が残らないため、経理の突合せ時に問題が発生しても、どの時点でどのデータが変更されたのか追跡できず、原因調査に膨大な時間を要していました。そのため、一部のデータについては画面のスナップショットを記録として保存するなどの対応をしていました。

さらに、一覧性が低く、一覧を取得する際にはCSVでダウンロードし、Excelで閲覧する作業が必要でした。加えて、コピー&ペーストや他システムからの一括登録もできず、入力作業の非効率さも課題となっていました。

加えて、システムにアクセスできる人が限られていたため、他部門や経営層がリアルタイムでコストの状況を把握することが困難でした。データの抽出や分析も担当者の手作業に依存しており、業務の非効率性が問題視されていました。

これらの課題を解決するため、私たちはシステムの刷新を決断しました。最新の原価システムへ更新する選択肢もありましたが、自社のニーズに完全に適合するシステムを構築するため、現場の担当者と協力し、新しい原価管理システムをゼロから内製しました。

新システムはクラウドベースで、他のシステムともシームレスに連携できる設計とし、どの部署の担当者でも簡単に利用できる仕様になっています。

システム導入における課題

新システムの導入に際しては、以下の3つの課題がありました。

① 旧システムからのデータ移行
20年間にわたって蓄積された膨大なデータを新システムへ移行する必要がありました。データの中には破損しているものやフォーマットが統一されていないものも多く、移行前にデータの整理とクレンジング作業を行う必要がありました。当初は直近数年分のデータがあれば十分と考えていましたが、検証を進めるうちに、過去すべてのデータが必要であることが判明しました。

② 操作性の維持
旧システムのユーザーインターフェース(UI)に基づいて業務が構成されていたため、新システムでも操作感覚やデータ出力結果をできる限り維持することが求められました。そのため、特定のボタン配置や操作手順、閲覧方法などを踏襲しつつ、最新技術を活用した使いやすいUIを実現しました。

③ 信頼性の確保
何よりも苦労したのが、システム移行そのものでした。旧システムにはパッケージ版のため仕様書やソースコードがなく、動作を出力結果から推測するしかありませんでした。また、明文化されていない業務プロセスも多く、機能の過不足も懸念されたため、新システムの信頼性を確保するために、検証期間を設けました。この期間中は旧システムと新システムを並行運用し、両方に二重登録して業務の検証を行う計画でした。しかし、二重登録は現場にとって大きな負担となり、十分な検証ができませんでした。さらに、データを自動的にレプリケーションする仕組みもなく、最終的には月末の締め業務を新システムでほぼぶっつけ本番で実施することになりました。そのため、昼間に発生した問題を夜間に修正するという、まさに自転車操業のような形で移行を進め、何度かの締め処理を経てようやく安定しました。

新システムの効果

こうして立ち上げた新システムは、誰でもすぐにアクセスでき、リアルタイムでのデータ共有が可能になったことで、経営層も正確な原価データを基に迅速な意思決定を行えるようになりました。また、他のシステムとの連携や拡張もできるため、業務改善や新たな取り組みにも柔軟に対応できるようになり、業務効率が劇的に改善され、全社的な原価管理の高度化が実現しました。

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