日本のアルミ鋳造業界を取り巻く課題 #0

鋳造業界に身を置く

　当社、日本高熱工業社は昭和24年（1949年）の創立以来、76年間にわたり熱設備メーカーとして鋳造業界に貢献してまいりました。古くは自動車部品の鉄鋼からアルミへの置き換えに始まり、リサイクル技術開発、種々の鋳造工法開発により日本の鋳造業界は発展してきました。しかし近年では、目まぐるしく変わる欧米の規制対応や急激なEVシフト、新型コロナウイルス感染症などにより翻弄されているのが現実です。
　上記のような状況に対応していくため、当社としても5年前に開発部門を立ち上げ、熱設備に限定されない幅広い開発を進めています。具体的な活動としてイノベーションセンターを開設し、お客様や協力メーカーと共にオープンイノベーションを推進、鋳造業界への貢献を目指しています。 

鋳造業界の今後

　鋳造業界に継続的に貢献し、鋳造業界の仲間たちとともに生き残り・発展していくために、何をするべきなのかを考えます。コラムでは「日本のアルミ鋳造業界を取り巻く課題」をテーマに、業界が直面する現状と未来への対応策について考察していきます。
　具体的には、以下の8つのテーマに焦点を当てます。 

#1：環境規制の強化に対する対応と持続可能な製造プロセスの確立
強化される環境規制への対応、エネルギー多消費型の構造から脱却するためには・・・。

#2：国内市場の縮小による需要減少と売上低下
自動車産業の構造変化による影響、低下する売上への対応は・・・。 

#3：労働力不足と熟練工の高齢化による技術継承の困難
技術継承の課題、若手人材の育成が追いつかない現状・・・。 

#4：遅い技術革新のスピード・低下する国際的競争力
新技術の導入の困難さ、他国に遅れを取る現状・・・。 

#5：グローバル市場での競争力低下と価格競争力の不足
新興国企業の技術革新やコスト削減のスピードに追いつけていない・・・。 

#6：国際市場での品質競争力を強化するための品質管理基準と認証対応
品質管理基準を強化し、国際市場での品質競争力を取り戻すために・・・。 

#7：原材料価格の高騰と供給不安による経営圧迫
製造コストに直結する原材料価格の変動、その影響への対応は・・・。 

#8：技術革新とデジタル化による競争力強化
鋳造工程における製造プロセスの効率化と競争力強化のために・・・。

ともに考えていきたい 

　本コラムでは、当社の視点から日本のアルミ鋳造業界の現状を記します。ただし、一つの側面だけで捉えるのではなく、可能な限り多角的な方向から考えるようにしてまいります。お読みいただいた感想やご意見をお寄せいただければ幸いです。ともに考え、ともに発展していくためのきっかけとなればなお幸いです。 

　初回は、第１話『環境規制の強化への対応と持続可能な製造プロセスの確立』と題し、アルミ鋳造業界が直面する大きな課題を取り上げます。環境規制に対応しながら、いかに安定した製造体制を築いていくのか。変革を迫られる現場の今と、将来への展望を探ります。