エンジニアなら知っておきたいアルミダイカスト技術の基本(3)
前回まで、ダイカストの説明・特徴、また合金の溶解について記述しました。もっと詳細に知るために、ダイカストの3要素(鋳造合金、ダイカストマシン、金型)の1つである鋳造合金を知る必要があります。合金には、アルミニウム合金、亜鉛合金、マグネシウム合金などがあり、環境問題から自動車などの輸送機器部品をはじめとして、ダイカストには薄肉・軽量化のニーズがあります。また、アルミニウム合金が97%を占めていると言われており、アルミダイカストの重要性が分かりますね。今回では、各合金の種類、特徴、用途について解説していこうと思います!
1.ダイカスト用合金の特性
ダイカストに使われる合金用材料は、金型材料、製品精度、鋳造性、生産性などの制約を受けるため、ダイカスト可能な材料には制限があります。ダイカスト用材料に要求される性質は、
・湯流れ性、キャビティ充填性がよいこと
・鋳造温度が低いこと
・鋳造割れが少ないこと
・耐圧性がよいこと
・凝固収縮が小さいこと
・金型への焼付き、浸食がすくないこと
などが上げられます。主要なダイカスト合金は冒頭で述べましたが、他には銅合金、錫合金、鉛合金なども使用されています。今回は、主なダイカスト合金について述べようと思います。
2.アルミニウム合金ダイカスト
アルミニウム合金ダイカストは、軽量で耐食性に優れ、経年寸法変化が少ないことからダイカスト合金のなかでは最も多く用いられています。ダイカスト合金全体の約97%を占めており、自動車関連のみならず産業分野で多く使用されています。
JIS規格にはダイカスト用アルミニウム合金地金とアルミニウム合金ダイカストが規定されています。地金規格は、20種類の地金とそれぞれ純度区分が2種類あります。
写真1 ダイカストマシン
2-1.アルミニウム合金ダイカストの種類
アルミニウム合金は、大きく分けてAl-Si系合金とAl-Mg系合金の2種類があります。さらに、Al-Si系合金はAl-Si系、Al-Si-Mg系、Al-Si-Cu系に分類されます。日本で現在使用されている合金は、Al-Si-Cu系合金であるADC12が約95%を占めています。
アルミニウム合金ダイカストは、ダイカスト性、機械的性質、耐食性などをよくするための有効元素と、構造上混ざることのできない不純物元素からなります。代表的な元素は、ケイ素(Si)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)鉛(Pb)です。
2-2.アルミニウム合金ダイカストの機械的、物理的性質
ダイカストの機械的性質は下記のような要因が影響しています。
① 成分の影響
② 熱処理の影響
③ 冷却速度および組織の影響
④ 欠陥の影響
⑤ その他
これらがダイカストの機械的性質に影響を与えます。
ダイカストは、冷却速度が早いために鋳造組織が微細で、他の鍛造法に比べて優れた機械的性質も持ちます。この機械的性質は元素が含まれる割合によって変わります。例えば、Siは極めて脆い性質があることから、Si量が多くなるほど伸びや衝撃値は小さくなる傾向があります。また、Siの含有量が少ないAl-Mg系の合金は、伸びや衝撃値がAl-Si系合金に比べて高い値を示します。
ダイカストの物理的性質のついても、機械的性質同様の要因が影響します。具体的に物理的性質に影響を与えることしては、
① 比重
② 電気伝導率
③ ヤング率
④ 熱膨張係数等
が考えられます。Siは熱膨張係数を低下させることから、Al-Si系の合金においてはSi量が多いほど熱膨張係数が小さくなり、Al-Mg系の合金ついてはSiの含有量が少ないため熱膨張係数が大きいので割れを発生しやすくなります。
2-3.アルミニウム合金ダイカストの用途
アルミニウム合金は軽量で機械的性質に優れていることが用途に影響します。また、軽量だけでなく、耐食性にもすぐれているため、ダイカスト合金全体の約97%を占めることができるわけです。その内訳は、2014年のアルミニウムダイカストの用途は、約90%が自動車用、約3%が二輪自動車用、一般機械用、その他用、2%弱が電気機械用です。下記の写真2は、バイクエンジンのシリンダーヘッドです。自動車用には、エンジン、油圧機器などの部品があります。二輪自動車用には、エンジン、ボディなどの部員があります。一般機械用には、船外機、電動工具などの部品があります。電気系用には、パソコン、映像機器などの部品があります。その他用には、建築部品、光学機器部品などがあります。
写真2 バイクエンジンのシリンダーヘッド
まとめ
ダイカスト合金の中で、アルミニウム合金は全体約97%を占めます。アルミニウム合金は軽量かつ耐食性の機械的性質に優れているため、自動車部品関連で大きな役割を果たします。以上がアルミニウム合金の種類、特徴、種類でした。今回はアルミニウムのみに焦点を絞りましたが、マグネシウム合金ダイカストと亜鉛合金ダイカストと比較してみると、より理解が深まると思います。
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参考文献
- 『絵とき ダイカスト基礎のきそ』(日刊工業新聞社 2015年版)
- 『今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい鋳造の本』(日刊工業新聞社 2015年版)
- 『鋳造技術シリーズ 6 軽合金鋳物・ダイカストの生産技術』(一般座談法人 素形材センター2014年版)
- 小冊子『ダイカストって何?』(一般社団法人 日本ダイカスト協会)
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