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アルミ鋳物・ダイカストに関する技術コラムです

2020.03.18

アルミダイカストに使用する金型の特徴とその材料について(2)

前回の「アルミダイカストに使用する金型の特徴とその材料について(1)」では、ダイカスト金型の役割、基本構造、種類について記載しました。今回は金型に使われる材料、加工、組立について解説していきます!

1.金型に使われる材料とその特徴

1-1 金型材料に要求される特性

 ダイカスト金型は、高温・高速で流入する溶融金属に接触するので、金型表面が侵食されたり熱疲労による金型損傷が生じることがあります。これにより、金型の寿命が大きく左右されます。したがって、ダイカスト金型材料の適切な選択は重要です。金型の選定にあたっては資料によると、

・鋳造合金の種類
・生産数量
・金型の使用部位

などを考慮し、型材としては、

・鋳造時の金型温度における硬さが高く、靭性に優れる
・鋳造時の金型温度における耐摩擦性、耐熱性に優れる
・熱疲労に強く、加熱に対して軟化抵抗が大きい
・焼入れ性がよく、焼入れ歪みが少ない
・熱伝導性がよい
・鋳造合金によって侵されにくい
・機械加工性がよい

などの性質が必要です。

1-2 金型部品に使用される材料

ダイカスト金型に用いる材料を表1に示し、主な部位について説明します。

(引用:『絵とき ダイカスト基礎のきそ』(日刊工業新聞社 2015年版))

(1) おも型、ダイベース、押出板

 おも型は、直接溶湯が接しないので S45 ~ S50Cなどの炭素鋼や、SC450 ~SC480などの鋳鋼、FCD450 ~ FCD600などの鋳鉄などが用いられます。また、ダイベース、押出版なども機械構造用炭素鋼などが用いられます。

(2) 入子、中子、鋳抜きピン

 亜鉛合金のような低融点合金(鋳造温度400 ~ 430℃)であれば、型寿命も長く型材はあまり問題になりませんが、アルミニウム合金では鋳造温度が650 ~ 720℃と高く、鋼材との化学的親和性も高いので、溶湯が直接的に接する入子や中子には、耐溶損性、耐ヒートチェック性などの特性が要求され、また、熱処理歪みの少ない鋼材が要求されるため、SKD6やSKD61などの熱間工具鋼が一般的に使用されます。

2.ダイカスト金型の加工

 金型加工工程はまずおも型の加工を行い、次に入子関係の加工を行います。続いて、鋳抜きピンや分流子、鋳込み口ブッシュなどの取り付け部品関連の加工を行います。続いて鋳抜きピンや分流子、鋳込み口ブッシュなどの取り付け部品関係の加工を行います。ダイカスト金型の加工は、金型部品によって加工手順が異なるため、説明していきます。

2-1.おも型の加工

 おも型は、小型の金型はS45Cなどの炭素鋼が使われ、中型、大型ではFCD500などの球状化黒鉛鋳鉄などが使用されますが、耐久性や変形防止のために鋳鋼を用いることもあります。おも型の加工手順は以下の通りです。

(1)分割面、表面の加工

(2)側面の加工

(3)入子、中子の嵌合部の加工

(4)冷却管や押出ピンなどの穴加工

(5)裏面加工

2-2.入子・中子の加工

 入子・中子の加工工程の順序は、金型の形状、大きさ、寸法精度や面粗さなどの製品の品質要求に応じて変更することがあります。各工程の概略は以下の通りです。

(1)6面出し(角出し)

(2)穴あけ加工

(3)荒加工

(4)熱処理

(5)6面寸法出し加工(仕上げ)

(6)仕上げ加工

(7)穴あけ加工

(8)研磨仕上げ

3.ダイカスト金型の組立

 ダイカスト金型の組立・調節は、工作機械で作製した各部品を組立、調節する工程があり、その工程はほとんどが人の手で行われます。大まかな工程は以下の通りです。

(1)部品の確認

(2)部品の調節

(3)部品の組立

(4)全体合わせ

(5)樹脂サンプル取り

(6)完成検査

まとめ

 今回はダイカスト金型の材料、加工、組立まで説明してきました。この後、ダイカスト金型の完成品に至るには、熱処理・表面処理が行われます。ダイカストの品質を確保するために必要な工程です。こちらに関しては、ダイカストの品質で詳しく述べていきたいと思います!

参考文献
  • 『絵とき ダイカスト基礎のきそ』(日刊工業新聞社 2015年版)
  • 『今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい鋳造の本』(日刊工業新聞社 2015年版)
  • 『鋳造技術シリーズ 6 軽合金鋳物・ダイカストの生産技術』(一般座談法人 素形材センター2014年版)
  • 小冊子『ダイカストって何?』(一般社団法人 日本ダイカスト協会)

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