溶湯品質と製品不良の関係性とは?
工業的に用いられるアルミニウム合金はその組成が必要な機能品質毎に定義されています。しかし、アルミニウムは地球上にはボーキサイト(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム)として存在していることでもわかるように酸化しやすいことが良く知られている上、製品に至る過程で様々な元素が混入します。また、主に空気中の水蒸気から水素を溶解します。溶湯内に混入し、製品品質や設備に悪影響を及ぼす元素や介在物・水素量が多い溶湯は溶湯品質が悪いとされています。
溶湯品質は、使用原材料、副資材、使用設備および環境等の諸条件と、溶解・溶湯処理条件の組合せで決まります。介在物・合金組成および溶湯内の水素に関して定期的な測定、管理が鋳造メーカー各社によって日常的に実施されています。混入防止の技術と並行して、溶湯の清浄度を安定して保持し続ける技術、発生要因を可能な限り抑制する技術開発なども⾧年取り組まれています。
今回は、溶湯品質と製品不良の関係性、およびアルミ鋳物・ダイカスト技術ナビが提供できる不良分析について紹介いたします。
溶湯品質の悪化により生じる製品不良
前述の通り、溶湯品質は、製品不良の増減に大きく影響を及ぼします。溶湯品質の悪い状態で鋳造された場合、溶湯中の酸化物・介在物・ガスはそのまま製品中に存在し続けることになるからです。溶湯品質の悪化が原因で増加する不良の一例を以下に示します。
鋳巣不良
溶湯中の水素ガスは、凝固の際に水素ガス放出ポロシティとなり、鋳巣不良を引き起こします。加えて、溶湯中の酸化物も鋳巣不良の原因となります。湯の流れが酸化物によって阻害され、その酸化物が凝固の際にひけの起点となることにより、鋳巣(ひけ巣)を生じます。
ミクイ、チッピング
溶湯中の酸化物・介在物は、セキ折り時や加工時にも悪影響を及ぼします。運悪くゲート部位に酸化物が挟まっていた場合、セキ折りの際に製品部まで欠けてしまい、ミクイ不良(欠け込み不良)を生じます。運悪く加工位置に介在物(ハードスポット)が存在した場合、チッピングを生じます。
アルミ鋳物・ダイカスト技術ナビが提供する不良分析
とはいえ、製品に生じている不良が、溶湯品質が原因であるのか、他の鋳造条件が原因であるのかを判断するのは難しいです。
弊社では、下記のような方法で、製品不良の原因特定のお手伝いをすることが可能です。
鋳巣不良部位の観察
不良部位を研磨・観察し、鋳巣内部や周辺組織の状態から不良原因を考察します。
ブリスター試験
鋳巣の分散状態、発生部位などから、鋳巣の発生原因を考察します。
ガス分析試験
製品中に含まれるガスの体積、成分から鋳巣の発生原因を考察します。
その他、ご相談頂いた不良の素性に応じて検査方法・確認事項等を総合的に判断して、対策案を提示することが可能です。
鋳造品・ダイカスト品における製品不良でお困りの方はぜひ一度、アルミ鋳物・ダイカスト技術ナビを運営する株式会社 日本高熱工業社までご相談ください!
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