DX推進記#5:社用車をDXする

当社ではDXに向けた取り組みを段階的に進めてきて、現在ではある程度その実現に成功しつつあります。数回にわたり当社のDXの推進記を紹介しております。
当社は設備保全や営業で全国各地のお客様に訪問するために、数十台の社用車を管理運用しています。当時直面していた課題は主に以下の3つでした。
- 社用車が使いたいときに空いていない
- アルコールチェックの法規制対応
- 紙ベースの点検管理の形骸化
社用車が使いたいときに空いていない
とりわけ、よくある問題は『いつも使えない』という状況です。車両が必要な時に他の社員がすでに使用している、またはいつ利用可能かわからないなど、適切に運用されないことが頻繁に発生していました。こうした管理の課題を解決するために、WEBベースの社用車台帳システムと社用車予約システムを開発しました。
もともと社用車はOutlook予定表でリソース管理していましたが、予約せずに利用できてしまう、何か月にもわたって予約されてしまい常に使用できない、最新のリース状況と異なるといった問題が頻繁に発生していました。また、Outlook予定表では車両の予約状況が一目でわかりづらく、次第に形骸化してしまいました。
そこで、車両ごとの情報を効率的に管理するため、まず社用車に採番し、車両ごとに番号を付けて管理する仕組みを導入しました。それまで車のナンバーで管理していたものを、n号車などのID管理に切り替えています。加えて、車番のQRコードを全車両に貼り付け、スマホを活用した管理を目指しました。
社員は、車両に貼られたQRコードをスマホでスキャンするだけで、その車両の稼働状況や予約情報、さらには利用履歴やメンテナンス記録をリアルタイムで確認できるようになりました。これにより、どの車両が利用可能で、どの車両がメンテナンス中かが即座に把握でき、予約の重複や利用不能といった問題が解消されました。
私たちはさらに、車両のリース会社のシステムとも連携を図りました。リース会社の車両メンテナンスや契約管理システムと当社の社用車管理システムを統合することで、車両のメンテナンススケジュールや契約更新の管理も自動化しました。これにより、車両の利用状況やメンテナンスの必要性を一元管理できるようになり、手動での確認作業が減少し、管理コストも削減されました。
この新しいシステムにより、誰がどの車両をいつ使用するのかをリアルタイムで確認・予約できるようになりました。社員はPCやスマホから簡単に予約でき、車両の稼働状況や空き情報を即座に確認できるようになったため、予約の重複や『使えない』といった問題が大幅に減少しました。
アルコールチェックの法規制対応
2022年4月1日より改正道路交通法が施行され、一定台数以上の自動車を使用する自動車の使用者は目視などによる運転者のアルコールチェックが義務化されました。さらに、2023年12月1日からはアルコール検知器を用いたアルコールチェックの義務化が正式決定されました。この対応にはそれなりの工数が必要になるのですが、別の見方をすれば、アルコールチェックをしないと社用車に乗れないので、乗車時にアプリを使うことが半ば義務にできるため、社用車DX化の追い風と考えました。
クラウドと連携するアルコールチェッカーもあり、チェックの数値も残せるので良いのですが、コストがかかります。そこでアルコールチェックも乗車時のアプリの一連の手順に組み込むことにしました。必要最小限の検知器を行い、結果の写真をスマホでとってアップロードするようにしました。これでもクラウド上に検知結果がのこるようにできます。またリアルタイムで社員の状態を確認できるため、社用運行管理者の確認結果とがセットで保存されるようなりました。
紙ベースの点検管理の形骸化
また、日々の車両点検においても、紙ベースでの点検管理が形骸化していることが問題となっていました。日常点検は車に備付の書類に記入して提出する形式でしたが、紙の点検表は更新や保存が煩雑で、実際にデータとして活用されることも少なく、形ばかりの作業となっていました。DXを進める中で、これらの点検作業もデジタル化することにしました。時乗車時にアプリを使用することで、最新の点検項目がスマホに表示され、点検結果をその場で記録してクラウドに保存できるようになりました。この新しい仕組みにより、点検の透明性と正確性が向上し、日常のメンテナンス状況を管理者がリアルタイムで把握できるようになりました。
システムの完成
結果、社用車を使うときは以下のような手順となりました。
乗車前:
・運転免許証を登録する
・予約システムで車番、予定使用時間、行先を記入して予約する
乗車時:
・社用車運行アプリを起動する(運転免許証が有効でないと先に進めない)
・車についているQRコードをスキャンし、予約状況を確認する。(自分が予約していなければ先に進めない)
・アルコールチェックの実施
・日常点検の実施
・オドメータの記録
帰着時:
・運転完了にする。
・アルコールチェックの実施
これらのDXによる改善で、車両の稼働率は格段に向上しました。特に、車両の稼働データを蓄積・分析することで、どの車両が最も使用されているか、あるいはどの時間帯に車両の利用が集中するかが可視化され、車両の適切な配備やメンテナンススケジュールも最適化できるようになりました。これにより、車両の効率的な利用が進み、不要な新規購入やメンテナンスコストも削減できたのです。また、日常点検や運転者台帳などの管理が効率的に行われるようになりました。
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